天皇、皇后両陛下は戦後80年にあたり、6月19、20日に広島県を訪れる。被爆地・広島には、皇室に複雑な思いを抱いてきた人も少なくない。広島訪問は即位後初めてで、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞で関心が高まる中、両陛下は被爆者と直接対話する。
被爆50年の1995年5月。広島平和記念資料館(広島市)を訪れた上皇さま(当時天皇陛下)が、館長だった原田浩さん(85)=広島市=にたずねた。
◇記事の最後では「皇室と広島の歩み」を写真入りの年表で紹介しています。
「そのとき、あなたはどちらに?」
「広島駅にいました。家族と命からがら逃げました」
そうこたえると、上皇さまと、そばにいた上皇后さま(同皇后さま)が表情を変えた。原田さんは「説明者だと思っていたら、いきなり被爆者にかわったわけですから。お二人の視線がするどくなったのを感じました」と振り返る。
戦時中、日本の敗戦が色濃くなった後も、日本の指導部は「国体(天皇制)護持」にこだわり、戦争終結が遅れ、原爆投下に至った――。そんな思いが広島の人たちにはくすぶり続ける。
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